片腕のベテラン・ライダーに聞く |
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■障害バイク歴が20年ですね、まあ世の中にはライダーとして40年、50年という大先輩も見えますが、ベテランと呼ばれる域に入り始めた、特に障害者ライダーとしてはそういえます。というのは国産車が急速に進歩し始めた頃と時を一にされてます。 ちょっと再確認にもなるのですが 例えば松本さんの改造を見てそのまま真似しても、中々上手くいかない場合もあると思うんです当然、それは蓄積が違う、個人差もある。自然に身につけた安全の取り方や意識も違う?交通事情はマナーを含めて益々悪くなっていますので危険は増していると思うんですが・・ バイクの性能向上もあり今のバイクは私が乗っても膝をすって走れるようなものもあります。パーツの進歩も著しく、昔は前後のブレーキを連動するのに容量の大きいリアマスターを探すのに苦労したり、リアマスターを2個つけてみたりいろいろ苦労しましたが、 今はHONDAのブラックバードやバラデロ 等のリアマスターを使えば前後が連動できたりと便利な時代です。最も大きいのは法改正で免許の取得が可能になってきたことで、いろんな事情で障害を持ってしまい2輪を諦めていた方々に今 少しだけ扉が開かれてきたと思います。しかし、今開かれつつある扉を完全に開けられるかどうかはここを読んでいるハンディキャップバイカーの皆様にかかっているのかもしれません。 何度も言いますが障害を持って乗る以上いざ何かがあった場合は健常な人よりも重度の怪我をするリスクが高いと言う意識を忘れないでほしいです。 ハンディキャップバイカーの死亡事故が続いたりすると必ず騒ぐ人がいて、今開かれつつある扉を狭き扉にする可能性もあるのですから・・・。 ■ではどうしたらリスクのコントロールができるのでしょうか? ありきたりですが安全意識(と言えば堅苦しいですが)をいかに持つかが重要になってくると思います。わたしも乗り始めて数年たち何となく走れるようになってきた頃、自身が五体満足で走っていた道でヒヤッとすることが何度かあり、自分はどんなに乗れてるつもりでも以前とは違うと自覚させられました。 乗り始めると最初は嬉しさと緊張で、交通法規に乗っ取った運転をしていますが、少し乗れるようになってくると・ ペースが上がる→オーバースピードでコーナーに進入する→コーナーに砂があったりコーナーの先がダートだったり・・・ 麻痺している部位は当然血行も悪くなっています。 健常な部分よりも簡単に脱臼や骨折してしまいます。 誤解しないでいただきたいのですが、安全=低スピードや交通法規厳守とは思っていません。首都圏周辺で40Kmの道を40Kmで走ったら、クラクションを鳴らされは強引に抜かれるはで危険度が増します。 周りの状況を判断してその場その場に合う運転をすること=安全だと思っています それでも近年の交通事情で100%の安全は無いと思います 自分の障害部位のことを良く知り、運転中は周囲を良く見て状況判断してリスクをコントロールしていく事が安全に繋がるのではないでしょうか? ■障害者のあるものが、転倒した場合は柔道でいう受身が出来ません、装具などが逆に凶器になることがあります。だから装具などはしっかりと選ばなければなりませんね? 障害は一人一人違うし、これは非常に難しい質問なんですよ。 これは私自身の例です、神経損傷による左上肢機能全廃で左腕は細くなり鬱血したような状態で血行も当然悪い為左腕の関してはあまり硬いプロテクターは逆に転倒したりした際プロテクターの上下部分で骨折の原因になったりするので使用していません、障害の部位以外は普通に市販されているものでかまわないんですが・・・。 例えば左腕を固定しているグラブも最初は簡単な改造でマジックテープでハンドルに貼っていました。 しかしただ貼り付けるだけだと高速走行時に手がハンドルから外れてしまう、ではと、左腕を完全固定するともし転倒した場合バイクと共にもっていかれてしまう・・・で今の形があるわけです。最初はFブレーキを右に移植し前レバークラッチ、後ろレバーブレーキにして親指で使用していたのですが人間の親指は後ろ側に開く作業を常時する構造にはなっていなくて関節炎になったり・・・個人個人が自分の障害に合わせて試行錯誤を繰り返していくしかないんですよね。 左手は特注でグラブを作り、耐過重糸でマジックテープのベルトをつけています
耐過重糸は一定の過重以上になると切れる糸です。絶対に切れない糸ではありません ■ありがとうございました。気がついたことや意見も今後どんどんお願いいたします。 昔から多くのハンディキャップバイカーを知っています・・・。 片目を失明している人、サリドマイドで両腕に障害を持つ人、近年バイク乗りとしてはポピュラーになりつつある片足欠損の人、そして私と同様片腕でZRX400に5年ちょっと乗っている人。知っている人の中には障害を持った状態で免許を取得した人もいるし、私のように障害を持つ前に免許を持っていて返納せず乗っている人さまざまです。 最近の欠格条項の削除により、免許を返納した人や取れないと諦めていた人にも扉が開かれつつあります。 質問の中でも触れましたがハンディキャップバイカーは個人個人障害の程度が異なるので、自分の障害に合わせてバイクと補装具?(乗るために必要な補助具)を試行錯誤して作っていくしかないんですよね。今後、多くのハンディキャッパーがバイクに安全に乗れるように、貴団体でのプログラムと情報発信を今以上に充実される事を熱望いたします。 |
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