日本障害者ライダーズ協会
JDRA

大腿義足で大型2輪免許取得(側車付条件)M氏の場合


後輪ブレーキを左手に移設改造したエリミ750 DJPサイドカー
障害者バイク改造

私は右大腿義足・大腿部1/2以上で切断の為、膝関節が有りませんので、まず右ペダル操作が出来ません。それと重い車体は無理です。車椅子の方と似たようなものですが、最新機器の応用で皆様にも充分対応できる事がありますので、チャレンジ出来る方がも今後も増えると思います。以下の記事が皆様の参考になれば幸いです。

【各種データ】

■障害の状況 右大腿義足 二分の一以上欠損
■免許の条件: 後輪ブレーキは左手または左足に限る
■試験方法 車両持込(公安委員会事前審査済ませ)による試験場試験。
■試験車両  カワサキエリミネーター750 DJPサイドカー(正規の側車登録車検3人乗り
■改 造 右足後輪ブレーキを左手後輪ブレーキ(ベルリンガー)に改造移設
■試験日 平成17年3月16日
■所在地 三重県
■所  感 やはり時間は多少掛かります。車両を用意し改造する為の余裕や心の余裕も大切です。ビジネスの世界と同様、ゆっくり時間をかけ話合えば全て解決する問題です。

【変更になった 新条件などの情報】

■免許の条件@ 二輪車はブレーキを操作上有効な状態に改造したもの

従来のように右・左・手・足などの表記が上記のように変わりましたので車両を入れ替えても条件等が合わず困ることはこれで無くなります。
■免許の条件A 二輪車は側車付に限る。

原付を除く全ての二輪車は側車付の条件になりました。これは整合性を持たせる為に仕方ないことです。だから私の場合は、もう400ccのソロは乗れません。

【重要事項】】

■試験コースは各県で長さや順序も違いますが、今後も変更されるかもしれません。免許種別によっても違うでしょう。車幅によりクランク・S字なども変更されるかもしれません。
■本当の試験車両のような各種表示灯は理想ですが現実問題として困難ですので今回はありません。
■健常者同様に試験は雨天でも実施するそうです。
■車両運搬の必要性から協力者が必要です。



行 動 日 記
個人の記録ですので、全ての方に当てはまるという事では有りません。一応の流れとしてお読み下さい
2004-10-8(金)  午前 三重県免許試験場に電話 本日より行動開始です!特に急ぐわけでもありません。
適正検査課から試験課に話を回わしてもらう(既に免許を持っている為?)事情を説明しする。きわめてのんびりムードでお話させて頂きました。即答を求めず、出来れば面談というのは双方当然な方向です。三重県は縦に長く津に行くのは半日つぶれるので出来る限り説明できる書類・資料を当然用意することにしました。
担当はU氏,来週にはお電話頂けるとの事で終了。
■それで今回は適性検査ではなく試験の係りになりました。
2004-10-14(木) 午前 三重県免許試験場より
電話がありました。
大枠な話と、面談の予定日時打ち合わせ
10-18(月)15:00 試験場にて面談設定
2004-10-18(月) 午後  三重県免許試験場を訪問しました。 担当官数名と面談を持って頂きました。 
サイドカーに乗って行く、参考に各部写真撮影・今後の方針等、概略等の打ち合わせ、本庁の回答待ちの件も有るかもしれません。
■障害者は個人差があるので外見では判断出来ない。よって適性検査でそれを見る。実車がないと判断出来ない等、現状とやむを得ない場合が多いのも事実。
■試験それ自体は平等である。お金を掛けて実車を用意しても落ちる方は落ちる。これは当然と考える。
■障害者手帳・免許証・車両に関する資料・身体に対する資料・現在までの二輪経歴・改造方法などある程度のもの、とそれらのコピーを予め用意するべき。
2004-10-28(木) 午 試験場より電話頂く 諸々打ち合せさせて頂く、「私一個人としての」受験者への対応をお聞きすることになりました。
■持込車両の事前審査(公安委員会)
■受験方法
@県試験場にて
A学校教習も可能
全国でこの方法が一律で適用すると限りませんが流れとしてご理解下さい。       
2004-10-30(土) 大阪府富田林市から 鰍aABY FACE様 より
ハンドルクランプ型サム・ブレーキが到着しました商品見本としてお借り出来ました。
2004-11-01 岩手県より陸送 サイドカー購入決定
2004-12-22 三重県免許試験場にて キャリアカーで改造試験車両を持って伺う、試験コースにて大まかな動力性能をチェック・各部の説明からコースの設定に関して詳細に係官氏数人で検討する。
コースについても実際に走りましたが、エリミネーターのサイドカーでパイロン無しの2輪コースのS字・クランクは走れました。各種データ計測。
■その後別室にて担当官の方数人と懇談、問題点や包括的な取り組みについて話し合いを持って頂きました。
■現在試験場で使用中の車両の様な各種表示ライトについて設置の検討等を話し合うが、現実問題・個人では難しい旨を告げる。特にスピードが40キロ以上点灯する装置は不可能だ。今後インジェクション車が増えてコンピュータ化されると電気関係が難しくなる。これが見えない障壁になってはならない。
■持ち込み試験における、公安委員会の事前審査って意味はそこにあると思います。
■了承を頂く
2005-01-14 三重県免許試験場の担当官氏に
電話連絡しました。
年末年始の忙しさが少し落ち着きましたので進行状況について聞いてみました。その間当方も試行錯誤す。
■ブレーキに変更の旨を告げる、再度審査を依頼。
面倒だがこれは当然再度審査を受けなければならない。
個人的な事情・スケジュール等もあり、かなり遅い動きです。その点はご了承下さい。
2005-02-03 担当官氏と今後について電話でしました コースの設定・試験方法等について最終的な詰めの為と最終車両チェックため試験場に。
2005-02-中旬 試験延期 体調不良及び個人的諸事情により延期させていただきました。すみませんでした。
2005-03-16 試験日 なんとか合格。即日免許証交付。


■三重県警察の担当官各位様
誠にお世話になりました。厳しい交通事情の現代社会に、障害のある者が二輪免許取得にはネガティブな意見もある事は承知しておりますが、今回、暖かく応援していただいた事心より感謝します。本当に有り難う御座いました。沢山の事項を時間をかけ順次クリアーしていく事が大切なこと改めて自ら勉強させていただきました。


■ローマは一日にして成らず

今回の場合は半年の時間が流れています。出来るだけの納得出来る資料等を持ち説明して下さい。
またこのHPも見てもらって下さい。最低でも半年から1年くらいの余裕を持って下さい。
障害の程度により違います。煮詰まってはいけません。

整合性
免許種別にごとに条件が違うのでは現実の社会の上で、ややこしい場面も有ります。今回は二輪車は側車付条件になりましたので、以前普通二輪は条件はありませんでしたが、整合性を保つ為、私の免許では今後二輪は全てその条件になります。(除く原付)
整合性から見れば簡素でスッキリです。つまり中型はソロで乗れ、大型は側車付ということではありません。実際問題、以前にブログに書いた通り、ソロで乗ることを既に止めてますので問題はありません。


■変わった事
改造の条件が二輪車はブレーキを操作上有効な状態に改造したもの
これは合理的な考え方で大いに賛成です。


■思うこと
たった一人の障害者が二輪受験することは、相談から始まり適性検査を経て試験コースの設定から試験実施まで実に多数の手続きがあります。いかに多くの関係者諸氏の手を煩わすことがわかりました。当然、人によってすぐには答えが出ない事項もて沢山あることもあるでしょう。しかし、全てが一般の方のように、何もかもスムーズに行くとは限りませんが、やがて日本全国で色々な事項が出尽くし問題が解決出来ることでしょう。もうすぐです。

人により1年・2年掛かることがあるかもしれません。今回の私の場合でも約半年の余裕で実現しました。
免許センターの方々には日々の煩雑・多忙の業務の中で、特別な時間を割いて、終始、紳士的な対応して頂き心から感謝しております。

障害者自身が平日に改造車両を試験場ま運び審査してもらったりする事も、試験当日に車両を運んだりすることも大変なことです。居住地から離れた試験場もあります。雨の日もあるでしょう。今回は都合3回、キャリヤカーにて実車を運びました。
自らサイドカーでも一度訪問しております。その度に高速道路料金やキャリヤカーのお礼や燃料代・その他を支払うことになります。1回で半日は費やすことになります。

コストから見れば意外と自動車学校で免許取得したほうが安い場面もあるかもしれません。

ご近所に障害者ライダーがいると状況が随分変わってくることもあります。


ありがとうございました。
安全運転を約束いたします。




エリミネーターのクラッチマスターは14Φなのですが、どうも浅い。そこでベルリンガーのクラッチマスター12Φに換装しました。
女子の指@本でも扱える程操作が軽くなり、クラッチのつながりもバッチリです。ニッシンののタンク別体のクラッチマスターは後輪ブレーキになりました。これも操作性は良好です。



このダブルレバーは互いの形状が干渉せず自然

【障害について】
●22歳の時です。交差点のトラック左巻き込み事故です。運悪く土曜日の午後だったものですから、受け入れる病院が当時は少なく。はるか遠方の病院をアチコチと運ばれた時は・・・・・手遅れでした。残念!!足切り!

●同じ大腿切断でもハーレーを支える事が出来る人もいますが、私は断端が短いものですから無理です。
義足はこの20余年の義足の発展と共に出来る限り最新型に変えて来ましたが、いくら最新型義足でもあまり歩かない人もいるし、古い義足でも世界中仕事で走り回っている人もいます。バイクも同じカブやスクーターで世界一周する人もいれば、ハーレーで踵引き摺ってワイルド気取ってお仲間と近所回っている方もいます。

心の持ち方で世界は変わる

●以前は仕事・遊びで海外中にいってました。ヨーロッパは死ぬほど歩きました。1冊の本を書けます。若い頃は殆どの主要駅で寝ています。その時でなければ出来ない事もあります。若い障害のある人に伝えたい事はないもないけど「人生の大切な時期を、充電中といいながら放電している人が多い」

逆説的ですが
バイクに乗ろうというエナジーと金を使えば、海外留学(遊学)でもいい、もっと時間と自分を有効に使う手もあり。その意味で全国で免許が簡単に取れる環境があれば、そのエナジーが多方面に向けられますね。

【車両について】
水冷で安定している・シャフトドライブでメンテナンスフリー・パラレル4でトルク変動が少ない
シート高が低い等全ての条件が合った車両です。
前オーナーもお子さんが障害者で楽しんでおられたとの事で、快くゆづって頂きました。


【生活に変化は?】
特にありません。残念ですが・・・!!妻から「アホっ」と誉められました!


【改造について】
この車両は全て手で操作出来るようになっております。今は電気シフターは外してあります。
トランスさえ出来れば車椅子の方でも運転出来ます。試験に受かるかは別としてネ。
ある程度の試行錯誤は覚悟してください。

いい加減な改造では危険なわけです。その為に公安委員会の事前審査が必要です。
警察当局も沢山の例が必要です、日本全国でその人の障害にあった改造が可能なようになればいいですね。複合の障害の方もおられます。その人それぞれの改造が出来るように試行錯誤がいりますが、どうか頑張って下さい。






■現実問題として免許を取っても、あまり大型車に乗ることは有りません。それと、免許条件が変わり以前のように、ソロのバイク(250ccあたりのシートが低い車種やスクーター)が遊びでも乗れなくなりました。 (隣がバイク店なのでチョイ乗りを・・)切断部が非常に短いものですからソロではスクーターなどがギリギリでしたが。まあ随分前に本気のソロは止めてますが・・・・


年々低下するであろう体の運動能力から見れば私には250ccで充分です。(若干弱気)
車検も有りませんし、本当のこと言うと仕事が忙しくて乗る暇もありません。
だから維持費がやすい250ccがライフスタイルに合ってます。
バイクに乗る時は殆ど妻と2人乗りですので安全運転には気をつけてます。

まあサイドカーの楽しさを知ったものですから、速さや馬力にはあまり興味がありません。
シート形状などで体重移動が簡単に出来る車両が一番です。

100%自分でコントロール出来る事が重要。
私は肢に障害があります。だからどんな状況でも支えられないならソロは乗るべきではないと思ってます。
健常者でも立ちゴケはします。だからと言って、障害者が同じ事をすると状況・意味は変わります。
練習して100回に一回しか失敗しなくても、その一回は最初に来るかもしれない。
しかし、多くのひとは100回目に来ると思っている。

障害者ライダーは一般から比べると絶対数が少ない。事故を起こした場合は分母が小さいぶんだけ、当然事故比率が大きくなります。どんな状況であれ危険回避(パニックブレーキなど)が出来ない車両選びは改造は失格と思います。

言い訳をしないことです。(したい時もあるでしょうが)

考えてみると障害者ライダー歴20年以上(サイドカー歴10年)ですから随分長い間乗っているものです。
風を感じることは有りませんが、若い女性達の熱い視線をいつも背中に感じて走ってます。



  4輪で免許取り消しになったら二輪も当然失います。そうならないように全力で安全運転にます。

乗ってみたいです。


END

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