日本障害者ライダーズ協会

オートクラッチの実際

私は、01年に競技中の事故により左上肢の機能を全廃しましたが、オートバイに乗ることを諦められず、色々情報を集めオートバイを作成し、昨年よりライダーへ復帰しました。                                匿名 2005-01-10


左上肢の機能障害と云う事で、ご承知のように問題になるのがクラッチと保安装置の操作でしたが、

■クラッチ操作については、米国リクルス社製”Zスタート”(オートクラッチシステム)の存在を友人より教えてもらい、装着することでクリアーしました。
■保安装置の操作についてはKTM社のEXCシリーズに採用されているスウィッチBOXを使用し、右側だけでヘッドライトON・OFF、Hi・Lo切替、ウインカー、ホーン、セルスタートS/Wの操作を出来るように配線加工してもらいました。
■ベースとした車両は CRF250X です。

■青がホーン、赤がセル、下がウィンカー
  下記写真参照ください。

オートクラッチシステムについて
オートクラッチの操作感は快適で、簡単にご説明すると”スーパーカブ”と大差ありません。
任意でクラッチの繋がる回転域を機械的調整して、その回転域より高ければクラッチは常時繋がっていますし、低ければ切れていますので、シフトアップ・ダウンもアクセルの開閉だけで行えます。
それと、前説で回転域と言っていますのが半クラッチの域の事です。機械的に制御されますので、繋がりはとてもスムーズで変にギクシャクしませんし、ライダーの疲れや集中度合いにかかわらず一定に操作されますのでエンスト無縁です。
 
リクルスZスタート 国内取扱いショップのページ
 

■ステアリングダンパーは必需品
スコーツ社のステアリングダンパーを装着し急激なハンドルの振られを解消しています。
  

■KTM EXCシリーズ スウィッチBOXについて
コンパクトで機能的な作りで、必要とされるスウィッチ数を満たしている為採用しました。
手前がライティングS/W・      キルS/Wは左側に単独でついています。
 
 
 
質問
@磨耗について
機械の磨耗度ですが、装着後オフロード中心で500Km程度しか走行してませんので、まだこれからというところです。(現在問題は出ていません。)
が、競技用に開発され相当過酷な状況下での使用を前提とされている商品ですので一般使用には問題ない耐久性があると思います。
気を付けなければならない点としては、設定する回転域によりますが、半クラッチが機械的に制御される為高いギヤでの低速走行や、ギヤと合わない高負荷走行(高いギヤで、急な坂を登る等)を頻繁に繰り返す場合半クラッチが多用されてクラッチディスクやプレートの磨耗や焼けが早くなります。(回転域を低く狭くすることで解決可)
 

A操作についてトップギアで走っていて赤信号です。ブレーキのみで止まってからシフトで1速まで入れれば、アイドリングなら繋がらずニュートラル状態になっているのでしょうか?
  設定した回転数より回転が落ちた場合は何速に入っていても自動的にクラッチが切れますので、アイドリングの回転数であればクラッチは切れた状態となりエンストはしません。しかし、質問のように1速に入ったままだと回転が上がれば自動的にクラッチが繋がる為、ニュートラル状態とは異なります。停車時は、意図しない時にアクセルを開けてしまう場合があるため、確り前後ブレーキを掛けておくと共に場合によりニュートラルに入れる事をお勧めします。
 


B対応機種について
真剣に装着しようと思えばハウジングさえ収まればクランク軸を削ってでも入るのでしょうが大掛かりです。
国産ではCRF250Xだけでしょうか?対応できる機種は少ないですね、  
私もショップに問合せましたが、適合機種専用の設計となっている為、安全面を考えると加工してのと取付けは無理という事でした。(ワンオフにての制作もコストがかかる為無理とのこと)
適合車種については、上記ショップのページで確認頂けます。(現在、国産逆輸入または国外輸入オフロード車の設定しかありません。)
CCRFについて。
基は国内販売されているHONDAの競技専用車 CRF250R がベースとなっている逆輸入車で、国外のオフロード愛好者向けに馬力を抑え、低中速のトルクを太らせた乗り易さ重視の味付けとなっている車両です。国内での評価も高く、エンデューロ愛好者にも多く使用されています。セル付でヘッドライトも一応付いてきますが、基本的には競技専用車となる為、保安部品類とこれを動かす為の配線は付いてきませんので専門的な知識のあるショップでの購入が必要となります。価格は車両代の他、前記の配線加工や保安部品の別途購入が必要となる為少々高く付きますが、世界のHONDAの製品ですので間違いありません。
少しでも購入額を抑えたい場合は、保安部品が最初から付いてくる KTM の購入をお勧めします。
 
Cその他
CRF250Xは国内での正規販売が無い一応競技専用車となります。輸入規制上、車両として輸入しているので、通関証明が発行され、この車両としての通関証明を基に国内の基準に照らし合わせ登録出来るようになります。ですので、国内で市販されているトレール車とは性質が異なり、安全快適に乗る為にはそれ相応の定期的なメンテナンスが必要となりますのでご注意下さい。
 

以上、参考として頂ければ幸いです

貴重な情報本当に有り難うございました。



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