日本障害者ライダーズ協会
20年来の片腕ベテラン障害者ライダー(左上肢機能全廃)
下の写真はZL1000と松本さん

片腕障害者ライダー


自己紹介をお願いします
皆様はじめまして、松本一成です。
現在は「Health Angels」と言うMCの代表をしています
Matchanと、これでピンと来る方もいるかもしれません。
左上肢機能全廃の大型2輪のライダーで20年になります。

1994.6のMrBike(DR800とハーレ)と1995.12のバイブス(Shadow1100C2)
に紹介されてますので御覧になった事がある方もいるかもしれません。

事故は?
事故は東名高速での単独事故です。
転倒後、左腕をワイヤーガードレールに引っ掛けて滑走し、
結果,左半身30数箇所骨折、神経損傷による左上肢機能全廃の障害です。


家族の事、反対とか?
妻と結婚前にはもう片腕でバイクの乗っていましたので、危ないと言いながら認めてくれています。但し、子供とタンデムでツーリングに行くのは良い顔をしません
でも、子供は乗りたがるんですよ(苦笑)

バイク、、免許について遍歴・改造を教えてください。
免許は事故前に限定解除取得していました。
事故後に返納しなかった為、そのまま持っていました。
事故後1年半入院中にどうしたら片手で乗れるかばかり考えていた
退院後すぐにフリーウェーを買うつもりで友人に付き添ってもらい、バイク屋に行ったが
中古のZ750FX1を見て衝動買い、一緒にSRのドラム用のFブレーキレバーアッシーと
カワサキ車の油圧クラッチマスターを購入し登録後、友人と試行錯誤し乗れる仕様を作ったのが最初です。
前後連動ブレーキの基本部分  リアマスターの拡大写真
片腕 リアマスター

初めて乗った時は嬉しさと緊張で膝がガクガクしたのをいまだに覚えています

事故後にZ750FX〜Z1000Mk2〜GSXR750〜XV750Special〜Virago750〜イントルーダ
1400〜VT1100C2 shadow〜CB750カスタム〜VF750F〜CBX750F〜DR800〜VT1100C2 Shadow〜Harley ロウライダー〜GSX1100刀〜CB750〜ZRX1100〜DR650〜ZRX1100を常時2〜3台保有していました

これはすごいですね、現在は?
現在はZL1000とDjebel250XCです。

改造はどの様に?
ブレーキペダルを踏むとフロントとリアにブレーキがかかるように改造してあります

改造はクラッチを右(Fブレーキレバーの位置)、右にウィンカーとホーンを移植、Fブレーキはリアブレーキと連動します。
以前は前後比のバルブもつけた事ありますが、試行錯誤や経験で現在はこれです。

■この改造は英国でも有りますが、日本では初めて拝見しました 4輪は当然フットブレーキで馴れていますし、制動力の確保からも安全な改造ですね。

左手(障害がある)は特注のグラブでグリップに留めています.
耐過重糸マジックテープのベルトを つけています 


どういう風に使ってますか?
最近は毎日の通勤と週末は娘とタンデムでツーリングかクラブの仲間とツーリングです。

20年間、障害者ライダーとして、何か言えるとしたら?
今はもう五体満足で乗った時間より、障害を持って乗っている時間が長くなりました。
20年の時間はバイクを通じて多くの仲間を産みました。
私にとっては片手で乗ることが普通ですが、やはり普通のライダーから見れば特異に見えるようで、そのことが多くの仲間を作るきっかけになりました
年をとったせいか?経験のせいか?自身のリスクマネージメントができるようになり、無茶はしなくなったような気がします。
本来バイクはスタンドを払った状態では自立も出来ない不安定な乗り物です
体に障害(上肢、下肢 等)を持つ事は自身でのバランスも不安定になっています。
不安定な乗り物に不安定な人間が乗る事で自立させる、理に叶わない事をやっていると自身も思います

ハンディキャッパーである以上、もしまた事故に遭えば健常者に比べ大きな怪我をする可能性も高いし家族に迷惑を掛ける事は必至です。何よりも2度と乗れなくなるかもしれません

私自身20年乗っていて一度だけトラックに引っ掛けられ左上腕を再骨折しています
いくら自身が気をつけても他人に巻き込まれることも有ります。

ハンディキャップバイカーが生まれる事は喜ばしい事です。
しかし、その中から痛ましい結果を生まないように各自が自己の責任で楽しんで欲しいと思います。私のような若輩者が言わずとも皆様も充分ご理解されているとは思いますが、個人の責任ですから、速さを求めるのもよいし何を求めてもよいと思います。

しかし、もし何かあった時は健常者よりも更に怪我をするリスクが高い事を認識した上で皆様に楽しんでいただければと願ってやみません
自己責任を勘違いしないで欲しいと願うばかりです。
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